専門分野について教えてください。

専大学では骨の新陳代謝の仕組み（「骨代謝」と言います）の研究をしていました。骨代謝疾患の代表である骨粗鬆症の診療と、骨粗鬆症が原因で起こってしまった骨折の治療を特に力を入れて頑張っていきたいと思います。

緑山会入職に至るまでの経緯を教えてください。

私は大学を卒業後すぐに整形外科に入局しました。これまで大学や関連病院で外来や手術などの臨床をしてきただけでなく、学生の教育、企業の専属産業医や健診医、大学での研究活動といった臨床以外のことにも従事していました。色々経験してきた中でやはり整形外科医として臨床の現場で貢献したいという思いが強くなっていました。ちょうどその時大学の整形外科の先輩であります理事長にお誘いいただきました。より地域に密着した医療現場で仕事がしたいと思っていた中、それに近い職場環境であったこと、また以前グループ内の周南高原病院に非常勤で勤務させていただいていたことがあり、コメディカルの方の人柄もよく、テキパキと仕事されていたのが印象に残っていたこともあり、お世話になろうと決め現在に至っております。

現在の大まかな仕事内容を教えてください。

現在は下松中央病院での勤務が主になります。外来、入院主治医、手術が主な業務です。外来では骨粗鬆症も含めた整形外科全般を診させていただいております。どこの地域にも言えることで高齢者の受診割合は多いですが、小児や交通事故患者、また近隣に大きな工場がありますので業務中に怪我した方なども来られます。入院患者は、手術が必要な方、他院での手術後のリハビリ目的の方、あるいは自宅療養が困難な方で、主治医として担当させていただいております。高齢者が多いため入院中に肺炎などの合併症を併発することもありますが、院長はじめ内科の先生方にも気軽に相談に乗っていただけ大変助かっております。手術加療は外傷を中心に定期的に行っております。手術は理事長にもサポートしていただき、麻酔も麻酔科専門医にしていただけるので心強い限りです。

これまでの研究成果から現場へのフィードバックについて

先ほども言いましたように大学では骨代謝の研究をしておりました。小動物レベルではありますが実際に骨を顕微鏡で観察し、細胞レベルでの骨代謝の仕組みや骨粗鬆症のメカニズムを学ばせていただきました。ヒトの骨でも根本は同じことが起こっていますので、この患者さんの骨粗鬆症はどのような状態なのか、またたくさんある骨粗鬆症治療薬を選択する上でどのような治療薬が適しているかを判断する際は研究での経験が活かされていると思います。

今の病院で良かったと思うことや、やりがいを感じているところをあげてください。

職場の雰囲気がアットホームで、特に挨拶をきちんとされているのが良いと感じています。「挨拶が良い組織文化を作る」と言いますが決して強制されて行っているのではなく自然に言葉が出てきているようで、当たり前のことでもそういうことが大事であると思います。仕事もストレスなくできています。良い雰囲気は病院に来られる方にも伝わるはずで、病院はネガティブな気持ちになりがちな場所ですが、気分よく利用していただけるのではないかと思います。

やりがいを感じていることですが、地域医療に貢献できるということでしょうか。どこの病院も一緒じゃないかと思われるかもしれませんが、地域医療の偏在化が問題になっている中山口県も医療過疎が進んでいる地域で、医師数は全国平均を遥かに下回っているそうです。ちなみに私の出身大学のある海を挟んで隣の福岡県、実は家族もそちらにおり現在単身で下松に来ているのですが、その福岡県は全国上位の医師数だそうです。このように地域医療の偏在化が著しい中で、医療資源が必ずしも充足していない山口県、並びに周南・下松地域で仕事ができるのは大変なやりがいを感じています。

整形外科を中心とした緑山会グループの連携について

主に高齢者の入院患者の退院調整が進まず、退院可能な状態であっても退院できないケースをこれまで経験してきました。手術加療含めた急性期医療を担う下松中央病院と介護療養を中心に行う周南高原病院、鹿野博愛病院、その他介護施設それぞれの特長を活かしたグループ内の円滑な連携によりそうした課題への対応が可能だと考えています。例えばグループ内の施設におられる方が骨折して手術加療が必要となった場合、すぐに当院に転院し、手術加療の後、落ち着いたらまた施設に戻っていくという流れはよくあるケースで、タイムリーにその方に適したサービスを受けられることは当グループの強みだと思います。

これから取り組んでいきたいことは？

整形外科は常勤医の私と、非常勤医3名ですので、多くの医師がいる大病院のような高度で専門的な治療をすることは難しいかもしれません。当たり前のことですが患者さんが何を目的に、何を期待して受診されたのかを理解した上でその目的、期待に十分答えられるよう丁寧な診療とわかりやすい説明を行い、受診してよかった、また何かあったら来たいと思っていただけるような診療を心がけたいと思います。

プライベートの楽しみは確保できていますか？

恥ずかしながらこれといった趣味はありませんが週末は福岡に帰省しておりますので家族と過ごす時間を大切にしています。下松での単身生活もすぐ近くにショッピングセンターなどもあり不自由なく大変生活しやすいと感じています。